約束の海
2015/05/03

山崎豊子氏の絶筆となった本
未完の遺作 三部予定の第一部だけでも 読み応えあったが
著者は完成に至らず昨年他界している・・・ 無念だったろうなぁ

緻密な取材、史実にフィクションをからめた小説である
私の記憶にも刻まれている「潜水艦なだしおと第一富士丸の衝突事故」や
真珠湾攻撃で日本人最初の捕虜となった酒巻和男氏が題材になっている
海上自衛隊潜水艦部隊の若き士官を襲う過酷な試練
その父はかの戦争で 真珠湾に出撃して ・・・捕虜となり一人生き残る
その辞世の歌
「桜花 散るべき時に 散らしめよ 枝葉に濡るる 今日の悲しみ」
帝国海軍少尉だった父にも過酷過ぎる戦争体験があったことを息子は知るのだ
第二部はこの父親の捕虜生活の物語だということだけど
とても魅力的な人物像が窺われるので、未完というのが残念だ
子「遠く太平洋までも続くこの海には、大昔から商船のみならず世界の船が
行き交いました。そのうちに、利権が生じ、戦いの場とも化しました
先の戦争では戦艦大和が米軍爆撃によって沈みました。その他にも、
日米の多くの戦艦が沈んでいる鎮魂の海なのです。多くの戦争の犠牲者たちが
今も眠っている海を、再び戦場にしてはいけないのです」
父「そうだ、この日本の海を、二度と戦場にしてはならないのだ。
それが俺とお前だけの約束にならぬように、信念を貫き通せ」
折りしも「集団的自衛権」の問題がちまたで飛び交っている
自衛隊が他国の戦争に巻きこまれて戦争に参加する、だなんて


憲法記念日の今日、砲弾ではなく、平和のための憲法を願ってみたい
著者は、大国の狭間で潜水艦が、人知れず日本への脅威と対峙していると知り
もっと詳しく知りたい、と。「戦争をしないための軍隊」という存在を
追究してみたくなりました、と。
私は自衛隊のことを知らな過ぎると思い知らされた
テーマはすこぶる重いけれど 主人公のラブストーリーもあって
(恋人役は私たち一般人の代表みたいな位置づけで)
想像していたよりズッと読みやすい本だった
感動の書


拙句 《 立夏です重いテーマの本ひらく》
この記事へのコメント
真珠湾攻撃10軍神とされてしまったけども 生きていた方 も通奏低音として入っているのですか
時々日本領海内で中国海軍の潜水艦が浮上します
櫻井よしこさんあたりは、中国の示威行動 と解説しますが、実は海上自衛隊に追い掛け回された潜水艦が「降伏」して浮上した状態です
右寄りジャーナリストの言葉は、眉唾 話1/4位で聞くのが良いですね
山崎さんの本は瀬島隆三を書いた「不毛地帯」読みました
日本と無関係な地域の軍事紛争に何故日本が出兵するのか?後方地域だから と政府答弁は有りますが、補給部隊を狙うのは戦術の基本では無いのか?と疑問だらけ
昨年の首相によるパネルを持ち出して記者会見した時の事例は「絶対に無い」事例を、情感に訴える言葉で粉飾して と、軍靴の音が聞こえて嫌ですね
ネット上の安倍支持派の声だけで政治を動かしている様な気がしますが、昔の自民党はもっと気骨のある人居りましたけどね・・・
Posted by DT33
at 2015年05月04日 07:34
>> DT33さん、さすがですねぇ^^
真珠湾攻撃9軍神と当時発表されていたようですね
はい、その通り、通奏低音としては正にこの一人の人生であり
生き残った酒巻氏に著者は興味があって でも
それだけでは単に昔話になってしまうのを避けたかったと
確かに潜水艦は潜っていてこそ、であり
姿を見せてしまうのは「降伏」浮上ということでしょうね
この本を読んで潜水艦のこと少しは理解できましたよ☆
このところ年々の投票率の低下 若い人たちの無関心^^;;
子供や孫たちに直接関わってくることなのにねぇ
本当に 与野党ふくめて その舵取りをもって歴史に名を残す政治家が
今はいるのかどうか…
山崎豊子の大作は「大地の子」以外はすべて読みました
映画化されていますけど この人のは映画より本で読みたいです☆
Posted by うたかた夫人
at 2015年05月04日 08:32
6日夜にNHK歴史ヒストリアでイ400の話放送していましたが、艦載機・晴嵐作りたくなってしまいました
ついでに「彩雲」も作りたくなったので、そのうち公開するかもしれません
Posted by DT33
at 2015年05月08日 00:43
>> DT33 さん、その番組 私も見ましたよ~^^
日本の技術って凄かったんだなぁって驚きましたね!
もう敗戦近かったのに よく《幻の巨大潜水空母》なんて…
その数奇な運命には見ていて哀しくなってしまいました
数奇な運命といえば酒巻和男氏の人生もまた…
《晴嵐》折り畳み式だなんて(驚)
作ってみたくなるんですね^^
楽しんで下さ~い
《彩雲》もまた なんだかみんな儚く思えて仕方ありません
Posted by うたかた夫人
at 2015年05月08日 07:23
うたかた姉さま、こんにちは。
昨晩、主人が、BSで、戦艦大和の映画を観ていました。
どうして、戦争をしたのでしょうか。
どうして、あんなことになったのでしょうか。
たくさんの尊い命が・・・・・。
あの頃、別れ分かれ分かれになった、
若い夫婦や恋人たちは、きっと、
今世で、また出逢えて、今度は、幸せになったことでしょう。
そう願ってやみません。
私は、前世で、空を飛んでいたような気がするんです。
すみません、ついカキコしてしまいました。
(*^^*)v
Posted by lilymasako3
at 2015年05月08日 10:16
>> lily3 さん、なんかどんどん狂気に走ってしまうのでは?
価値観が一つって怖いものがあるけれど
そうかって、今のような多様化の時代もまた戸惑いがあるわねぇ
それでも自分の意見を持てる時代に暮らせて良かったと思いません?
前世では空を飛んでいた?
ふぅ~ん、希望的観測かな^_^
たまにはそんな思いを巡らせてみたいわね
私の前世は?考えてみたことないなぁ
Posted by うたかた夫人
at 2015年05月09日 00:30
うたかた夫人様
戦後の安保政策の大転換、許せない気持ちです
首相の言葉はウソと欺瞞なのに、産経新聞のネット版では擁護するような記事が・・・
讀賣も安倍シンパなので、巨人ファン返上して、アンチに宗旨替えしました
昨年の衆院選、返す返すも残念です
Posted by DT33
at 2015年05月15日 00:47
>> DT33 さん、キナ臭くなってきたわね
これって戦争法案そのものですよね
民主主義も数の論理に頼るしかないのかと
多数決が必ずしもいいわけではないのに
Posted by うたかた夫人
at 2015年05月15日 07:02