約束の海





山崎豊子氏の絶筆となった本
未完の遺作 三部予定の第一部だけでも 読み応えあったが
著者は完成に至らず昨年他界している・・・ 無念だったろうなぁ face06
緻密な取材、史実にフィクションをからめた小説である

私の記憶にも刻まれている「潜水艦なだしおと第一富士丸の衝突事故」や
真珠湾攻撃で日本人最初の捕虜となった酒巻和男氏が題材になっている

海上自衛隊潜水艦部隊の若き士官を襲う過酷な試練
その父はかの戦争で 真珠湾に出撃して ・・・捕虜となり一人生き残る
その辞世の歌
「桜花 散るべき時に 散らしめよ 枝葉に濡るる 今日の悲しみ」
帝国海軍少尉だった父にも過酷過ぎる戦争体験があったことを息子は知るのだ
第二部はこの父親の捕虜生活の物語だということだけど
とても魅力的な人物像が窺われるので、未完というのが残念だ

子「遠く太平洋までも続くこの海には、大昔から商船のみならず世界の船が
行き交いました。そのうちに、利権が生じ、戦いの場とも化しました
先の戦争では戦艦大和が米軍爆撃によって沈みました。その他にも、
日米の多くの戦艦が沈んでいる鎮魂の海なのです。多くの戦争の犠牲者たちが
今も眠っている海を、再び戦場にしてはいけないのです」
父「そうだ、この日本の海を、二度と戦場にしてはならないのだ。
それが俺とお前だけの約束にならぬように、信念を貫き通せ」



折りしも「集団的自衛権」の問題がちまたで飛び交っている
自衛隊が他国の戦争に巻きこまれて戦争に参加する、だなんて icon08 icon09
憲法記念日の今日、砲弾ではなく、平和のための憲法を願ってみたい

著者は、大国の狭間で潜水艦が、人知れず日本への脅威と対峙していると知り
もっと詳しく知りたい、と。「戦争をしないための軍隊」という存在を
追究してみたくなりました、と。

私は自衛隊のことを知らな過ぎると思い知らされた
テーマはすこぶる重いけれど 主人公のラブストーリーもあって
(恋人役は私たち一般人の代表みたいな位置づけで)
想像していたよりズッと読みやすい本だった
感動の書 icon12 オススメ本です icon22

拙句 《 立夏です重いテーマの本ひらく》






タグ :俳句

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